歩き回る虎

なんだかんだ10年近くはてなを愛用する村人です。アニメや漫画やゲーム等のオタク系レビュー、投資日記、世の中のこと、ツイッターで書ききれないこと等を書き連ねる雑記ブログです。

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「少年ジャンプ+」の炎上商法プロモーションは一体どうなってんだよ

少年ジャンプ+ 藤本タツキ 炎上商法


 

 

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 先日、突然「ながやまこはる(@nagayama_koharu)」なる自称小学三年生女子のアカウントが垂れ流したある漫画家の「オールカラー女子高生ヘアヌード絵を目玉にする読み切り」「全ページ」がツイッターを騒がせました。

 

 どうやらこのアカウント、その漫画家・藤本タツキ氏の自作自演用の複垢(作者の妹設定)だった模様ですが、この手段を選ばぬやり方に引っかかりました。内容以前の問題です。

 

 

    まず最初に断っておきますが、私は『妹の姉』なる漫画はツイッターで目にしてしまった1ツイートの数ページしか読んでいません。とにかく大衆の注目を集めたいがためにSNS規約もゾーニングも足蹴にして小便ぶっかけたが如き独善的なプロモーションに出た感がありありで端的に呆れたからです。後日、そのアカウントの中身が作者自身と知り激しくがっかりしました。『チェンソーマン』が面白いと知人から聞いていたのでせっかく興味持ってたんですけどね……。

 

 だから全体の内容にはそもそも触れる気はありません。「ヘアを出した全裸女子のカラー絵で目を引く公開イジじみた設定の胸糞漫画画像」を選択の余地なく突然眼前に突き出されて不快になった人達が律儀につきあって読んであげているのを見ると、なんて寛大な人格者なのだろうと感服する限りです。

 

 ただ、ごくごくありふれた一般の創作手法の話をすれば、初手から見世物感覚で一般読者の不快感あるいは下劣な欲望を煽ってナンボのインモラルな猟奇・性的虐待・弱者をいたぶる胸糞悪いイジメ描写で殴りつけるようなエンタメ作品には大概『それを消費する読者向けの言い訳要素』がセットになっています。

 

 「言い訳要素」とはどういうことか具体的には、内心では児童性的虐待とも取れるような過激で反倫理的で差別的なモノに喜びを覚えてソレを求めてしまうゲスい消費者の罪悪感を、耳かき一杯ぶん申し訳程度の「家族愛や友情など、なんとなくの感動要素」でごまかして消費者(と無責任な送り手)を気持ちよく騙す技法の事を言います。

 

 読者が最初に惹かれて飛びついた動機は明らかに下世話な絵と設定の刺激と好奇心だったのに、途中からの○○という言い訳要素を見てから「これは本当は○○を訴えるものなんだ。自分には最初からそれがわかってた」と動機が無自覚にすり替わってる。そうなるよう描き手が意図的に読み手の下世話さを正当化させて過剰な刺激を与えながらも気分よく消費させてあげるテクニックです。

 

 割合で言えば「過激な虐待やイジメ」が9に対し「なんとなくのハートフル」が1で大丈夫。己のゲスさを猛烈にごまかしたくて仕方ない人達にソレを向ければ勝手に膨らませて9:1から1:9に脳内補正で逆転させてくれます。反対に自分の描くものを正確に把握したうえで、批判や拒絶を覚悟してまでも描きたいものがあるという信念に基づいて作品を作っている作家にはそういう言い訳要素が無いように思います。

 

 想像になりますが、『妹の姉』というタイトルと一部マニア読者の反応を見る限り、件の漫画もそのパターンに当てはまっていそうな気がします。

 

 ただ、それと別に疑問に思った事があります。

 

 「いくら誰でも読めるWEB漫画だからと言っても、漫画家が掲載作品を全ページアップするという行為はアリなのか?(掲載元のリンクなし)」

 

 私の観測範囲のWEB連載漫画家は概ね作品のハイライトとなるカットか途中のシーンまでに留めて「続きはこっちでね」と末尾に掲載元のリンクを張るというやり方を取っています。それならわかる。

 

 しかし、ツイッターで掲載元に誘導する事もなく全ページ張るのは、見ようによっては作家個人がアクセスを媒体から横取りしようとする行為にも取れてしまいます。

 

  特に藤本タツキ氏は例のアカウントで末尾に『チェンソーマン』最新刊のAmazonリンクをコピペしています(Amazonリンクを張って宣伝するのは確かツイッター規約違反)。媒体はアクセス数が増えても作者にインセンティブは無いけど、コミックスが売れれば作家個人に印税が入ってくる。つまり、掲載元の収益を妨害してでも個人の収益に導こうという作家個人のスタンドプレーの臭いがプンプンする次第ですが、果たして掲載元の「ジャンプ+」的にはそれは認められるのか?

 

 ……と思って『少年ジャンプ+(@shonenjump_plus)』のアカウントを確認し行ったら普通に画像つきツイートをRTしていて盛大に拍子抜けしました。しかも担当編集者のツイッターアカウントも同じ事してやんの。

 

 この分では例のやり方は編集部公認、否、むしろ編集部主導と見て良いかも知れません。

 

 なんでしょうね。。

 

 思えば「ToLOVEる矢吹先生トイレマークセクハラ大騒動」から何から『少年ジャンプ+』の編集部はツイッターで炎上騒動ばかり起こしてばかりで度々集英社全体のコンプライアンスが疑われる行為を晒しまくってるのに、会社ぐるみで何の処分もなく守られて「炎上商法もっとやれ」ムードに包まれている気がします。世には大小こみでいろんなWEB漫画サイトがありますが、個人の印象として少年ジャンプ+の「イキリ感」「行き過ぎ感」は際立って目立ちます。

 

 先日発売されたジャンプ+掲載の『早乙女姉妹』だかなんだかって漫画のオビに「この作品は過激すぎて少年ジャンプ+のアプリから削除されました!」と編集部が自慢気に書き散らしているのを見かけて「何考えてんだこの編集部」とドン引きしましたが、おそらくこれが少年ジャンプ+の基本精神にして、「ジャンプ+らしさ」として意図的に世間に定着させたい芸風なのでしょう。

 

 冒頭の『妹の姉』に戻りますが、「過激な作品」を許された媒体で発表するのは良いとしても一般老若男女キッズもいる場所に無差別的に見せびらかす迷惑行為じみたやり方を作家と編集部ぐるみでまかり通しているのはどうなんだ。

 

 絵もさることながら「本人に無断で全校生徒の目につく場所に自分のリアルな全裸絵を掲示されてしまった女子高生(藤本タツキ氏本人のツイッター説明文を若干改変)」は一般的には理不尽で非人道的なイジメを想起させて不快感を煽られたりトラウマを呼び起されたりしても仕方ないような話。媒体に掲載されたものなら過激なものでも読者が自己判断で読めるからいいが、その余地を与えず無責任にSNS拡散を煽って不特定多数の顔面に押し付けるような真似はどうなんだ。率直に言って作家としての挟持や認識能力のバランスを大いに疑ってしまった。

 

 ジャンプ+編集部が「普通に世に出せば削除される過激な作品」を自覚的に(むしろ誇らしげに)扱っているのは疑いようがありません。そんなものを棲み分けも修正もせず無責任に公共の場に垂れ流して、一般から不快感を煽ったり抗議をされれば「してやったり」。迷惑行為で再生数を稼ぐ一部の承認欲求暴走害悪系ユーチューバーと一体何が違うのかと。

 

 先日、四歳の子供にユーチューブを禁止した親の話がバズりましたが漫画やアニメ禁止ではなく何故ユーチューブなのかという点で「商業コンテンツと違い、ユーチューブには商業のプロの編集による検閲が入らないから信用に値しない」という趣旨の事を根拠として仰っていました。頷ける意見です。でも紛いなりにも商業媒体であるはずのジャンプ+の内的な基準や商業倫理観も、実質あってないようなものだと思います。

 

 さしあたり今思うのは二つ。

 

 アレな組織アカウントが暴走を重ねて勝手に自滅する分にはむべなるかなという感想しか出ないけど、自滅する前に『青のフラッグ』を真っ当な他媒体に移籍させて欲しいという点が一点。

 

 せっかく各社のWEB漫画サイトが紙媒体に依存しなくても盛り上がってきたというのに、少年ジャンプ+の強引なやり方に続いたらツイッター修羅の国状態になってしまうのでそれだけは勘弁というのがもう一点。

 

 さすがにまともな媒体なら後者はないと信じたいけど、不安だなぁ。